NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)が、11月29日に初めて賛助会員の集いを開催した。記念講演に続いて事例発表やパネルディスカッションがあり、全国から約100人が参加した。色覚のバリアフリー化を目指す同法人は、色弱者が見やすい配色を科学的に研究して普及を図っている。
賛助会員企業は現在34社。色弱者の見え方を簡単に体験できるアイフォンアプリ「UDing」を無償配布している東洋インキ(東京・中央)や、玩具やパッケージのカラーユニバーサルデザイン(CUD)対応を既にほぼ標準化しているバンダイ(東京・台東)などが、先駆的な活動を展開している。バンダイは、社内で「ユニバーサルデザイン研究会」を立ち上げ、専用ウェブサイトを設けて広報にも力を入れている。
同法人によると、先天性の「色弱者」は国内に約320万人いる。男性20人に1人が、赤と緑が区別できないなど、一般色覚者とは異なる色覚を持っているという。
津波警報や道路標識といった生死にかかわる表示にも、従来は色弱者に識別できない配色パターンが使われていた。しかし、ここ数年で急速に状況は改善されつつある。2012年は、東京商工会議所が「カラーコーディネーター検定試験」の公式テキストにCUDを盛り込んだり、気象庁が気象情報の色覚バリアフリー化を実行するなど、各方面の取り組みが一層の進展を見せた。
色弱は遺伝的な視細胞の特性に基づく。子ども時代には、黒板にカラーチョークで書かれた文字が読めない、グラフの凡例の色が区別できないなど、学習に支障をきたすことも少なくない。賛助会員の教育出版(東京・千代田)は、2015年度版の教科書で、全面的なCUD対応を実現する予定だ。
『色弱が世界を変える』(太田出版)の著者で自身も色弱の伊賀公一副理事長は「つい最近まで色弱者が避けたほうが良い職業の長大なリストが公然と存在していた。昔は車の免許も取れなかった。でも今は信号や標識が工夫されて僕も運転している。色覚は主観であり、見え方は個性のひとつ。誰もが暮らしやすい社会のために、CUDを普及させたい」と語った。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)