店頭で販売されている魚介類から放射性物質の検出が続いている。環境NGOのグリーンピース・ジャパンは7日、横浜市内のスーパーで購入した北海道産のマダラから1キログラム当たり78ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。
マダラが販売されていたのはユニー戸塚店。11月5日に購入されたもので、同NGOが抜き打ち検査を行っていた。マダラではこのほか、イオン福島店(福島県福島市)で10月26日に購入した岩手県産のものからも同7.5ベクレルの放射性セシウムが検出された。
岩手県産のマダラについて、同NGOは東電原発事故の汚染海域から北上した「太平洋北系群」が漁獲されたと推定する。一方、同NGOで海洋生態系問題を担当する花岡和佳男氏は北海道産のマダラに関して「どの海域で獲れたのかが分からないため、別の海域で育った群れが水揚げされた可能性もある」と話す。
マダラは主に生息する海域によって群れが区別され、群れ同士が混じることはないという。花岡氏は「今回漁獲されたマダラが、陸奥湾から移動してきた『陸奥湾産卵群』である可能性も否定しきれない。漁獲海域が分かればどの群れなのかの目安がつくが、漁獲海域表示が普及していない現状は消費者に余計な不安を抱かせることになる」と指摘する。
グリーンピース・ジャパンでは昨年9月以降、関東・東北地方を中心に、これまで10回にわたり食品の放射能汚染調査を実施。店頭の魚介類からは毎回、放射性セシウムに汚染されたサンプルが見つかる。
花岡氏は「水産庁は東日本太平洋で獲れた魚介類について漁獲海域の表示を奨励しているが、これはあくまで罰則などを伴わない『努力義務』。消費者はどこで水揚げされたかよりも、どこで獲れたかを知りたがっている。漁獲海域表示を徹底することが、消費者と漁業者にとってよりよい流通につながる」と話している。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年12月7日