衣料品ブランド「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは9日、2020年1月1日までに同社の製品の生産、流通ほか全ての過程で有害化学物質の使用を全廃すると発表した。国際環境NGOグリーンピースとの合意に基づくもので、日本企業としては同社が初となる。
有害性が完全に証明されなくても疑わしければ使用をやめるという「予防原則」を踏まえ、毒性や生物蓄積性などが認められる、またはその疑いがある全ての化学物質を対象にしているのが大きな特徴。
同社ではまず今年4月末までに、有害化学物質のリストと監査過程を公開。また同5月までには、同社の中国国内の少なくとも10社の主な協力企業を対象とした化学物質の排出に関する公表を始めるなど、情報公開の徹底に向けた取り組みを始める。また、特に発がん性が指摘されているパーフルオロカーボン類(PFCs)については16年7月までに使用を止めるとしている。
グリーンピース・ジャパンの佐藤潤一事務局長は「ユニクロは有害化学物質の全廃を宣言したことで、代替物質の利用と開発を牽引し、水質保全を目指すグローバルリーダーとなった。ユニクロのリーダーシップは、日本企業による社会的責任のとらえ方として、特に先進的な取り組みだ」とするコメントを発表した。
グリーンピースでは11年3月から衣料品ブランドに対して、遅くとも20年までに有害化学物質の使用と排出をゼロにすることを求める「デトックス・キャンペーン」に取り組む。ファーストリテイリングの合意はプーマ、ナイキ、H&M、リーバイスなどに続き世界で12社目となる。
グリーンピース・ジャパンで同キャンペーンを担当する高田久代氏は「中国では、世界的な衣料品メーカーと取引実績のある2つの繊維加工工場の排水から有害化学物質が検出された。また、染色などで使われた化学物質が家庭の洗濯排水に溶け出して環境を汚染するという問題もある。EUでは、企業による有害化学物質規制の取り組みを受けて、より厳しい規制基準を取り入れようとする動きが起きている」と話している。(オルタナ編集部=斉藤円華)
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