宮城県石巻市周辺の女性たちによる東日本大震災の様子をつづった冊子『女性たちの被災体験談 3・11を私は忘れない』が話題を呼んでいる。被災した人と支援したい人が協力して実現したもので、被災の教訓を広く世に伝えたいと「図書館に寄贈!読者1万人プロジェクト」を実施。全国の図書館100館に寄贈したいと、協力を呼びかけている。
この冊子は、長野県の今井康裕さんとの土屋眞一さんが、被災地からの必要物資と支援者を結ぶマッチングサイト「311help.com」をきっかけに、石巻市の千葉恵子さんと知り合ったことが発端となった。冊子では、5歳の幼児(母代筆)から69歳まで13人の女性たちが震災当日の様子を振り返り、感じたことを記している。
あわせて、実際に震災が発生したときの対処法や、産婦人科医による「災害時の妊婦マニュアル」、福島県いわき市の学校長による「被災地からの復興提言」、実際に支援をした人による「遠隔地からの情報支援活動」も掲載しており、幅広い視点で実用的だ。家族との合流の仕方や、安否確認法について自分たちで書き込む欄があり、震災への備えにもなる。
冊子作成には「いつ震災が発生しても、多くの命を救うことに役立ちますように」との願いが込められている。多くの人に力の源となる笑顔を届けたいと、子どのも絵や笑顔の写真をはじめ、歌や詩も載せた。
編者の千葉さんは「この体験談をみなさんの心に届けたい。二度と同じような想いをしてほしくないし、今後の震災に備えるための教訓として語り継いでほしい」と話す。
今井さんはこの活動をきっかけに、ネットで被災地関連情報マガジン「ともの絆」の配信を始めた。「共に手を携えて、人生を重ね合わせながら、いつ災害が起きようとも、乗り越えていける絆を築いていけたとしたら、幸せなことではないか」と語る。
冊子はA4サイズで56ページ、税込み525円。ネットでの注文も受け付けている。(オルタナ編集部=田口理穂)