一般社団法人からふる(埼玉県川口市)は、障がいのある子どもたちが将来好きなことで自活できるよう、仕事づくりを行っている。 1月からは、子どもたちが絵を描いた「からふるキッズアート名刺」の販売を始めた。
先天的に病気を持った子どもの場合、若いうちから自分のできることを自覚させ、親がいなくなっても一人で生きていける力を身に付けておかないと、大人になる頃には就労が困難なため、結婚や出産、子育てなどをあきらめざるを得なくなりがちだ。
からふるの代表・吉澤泉さんは、娘が脳性まひだったことをきっかけに、2007年から障がい児を対象としたお絵かきの会を結成、障がい児が将来自立できるようになるための支援活動を始めた。
吉澤さんは言う。
「販売収益のうち、売上の約7%は同団体の障がい児支援活動に使われ、さらに約7%は描いた子どもに印税として提供されます。この名刺が売れれば、絵を描いた障がい児の生きていける自信につながり、社会参加や働くことへの意識も高まります」
「同時に、企業が社内の公式名刺として採用すれば、CSR(企業の社会的責任)の活動を内外にアピールでき、社会貢献の意識が社員・取引先・顧客に伝わります。学生が購入すれば、就職活動やベンチャー立ち上げの際に相手に自分を強く印象付け、売り込むための強力なアイテムになるでしょう」
「からふるキッズアート名刺」は、からふるのホームページで購入できる。同団体は、パッケージ会社の美販(東大阪市)の制作協力を得て、名刺だけでなく、デザインを切り口に紙製品を中心としたシリーズ商品・サービスの輪を広げていく予定だ。
こうした正規の美術教育や美術史の延長線上に無いアートは、昨今では「アールブリュット」(アウトサイダーアート)と呼ばれ、世界中で社会的な評価や注目度が高くなってきた。(今一生)