原子力規制委員会は、炉心溶融などの重大事故(シビアアクシデント)やテロへの対策を盛り込んだ原発の新しい安全基準案に対する国民からの意見募集(パブリックコメント)を28日まで行っている。新安全基準は7月にも施行される予定で、すでに許可を得ている原発も新しい基準への適合(バックフィット)が義務付けられる。
東電原発事故では重大事故対策を電力会社任せにしたことなどが問題視された。そのため、電源車の高台への設置や、炉心損傷時に放射性物質を低減して圧力を格納容器外に逃す「フィルター付きベント」などを盛り込み、重大事故やテロなどに備えるとしている。また、原子炉施設下の地盤では最大で過去40万年以降までさかのぼって活断層の有無を検討するよう求める。
規制委が「世界最高水準の厳しさ」とする同案が施行されれば、電力会社は原発の大規模な改修にともない巨額の負担を強いられる。電力コストの上昇を懸念する意見がある一方、「原発は再稼働を前提とするのではなく廃炉とすべき」との声もある。(オルタナ編集部=斉藤円華)