大林組は6日、東日本大震災の津波で被災した塩害農地で、被災木材のチップ材などを用いて土壌改良と雨水による除塩を促す工法を開発したと発表した。昨年4月から宮城県岩沼市内の塩害農地で行われた実証実験では、5か月で塩分が基準値以下まで低下することを東北大学と共同で確認したという。
今回開発した「木材チップ塩成土壌改良工法」では、塩分濃度が高く泥状化した塩害農地に、木材チップと土壌改良材を混ぜて散布し、定期的に土壌と撹拌させる。また、塩害農地の周囲に深さ20~30センチメートルの溝を掘って排水性を高め、降雨による塩分の排水を促す。
木材チップは泥状の土に隙間を作り、透水性を高める。同材には被災木材や間伐材などを有効活用できる。また、カルシウムを含む土壌改良剤を混ぜることで、塩害主成分のナトリウムを大幅に低減する。
大量の水を用地に引き込む通常の除塩方法は、水田での除塩に適しているものの、地盤が沈下して排水が不十分な地域などでは実施が困難だった。同工法では用水の引き込みが不要だ。同社では今回開発した除塩技術について「ハリケーン被害やデルタ地帯など、津波にとどまらない塩害リスクへの対応にも応用できる」としている。(オルタナ編集部=斉藤円華)