編集長コラム)「何かあったら誰が責任を取るんだ?」

3月15日には、グリーン経営者フォーラム「グリーン熊本」の立上げに参加した。熊本を日本唯一のフェアトレードタウンにするため奔走した明石祥子さん、高品質なBDF(廃食油を使ったバイオディーゼル燃料)に取り組む星子文さんら、熊本はグリーンで元気な女性経営者が多いように感じた。

その懇親会で、こんな会話があった。何か新しいことをやろうとしても、「何かあったら誰が責任を取るんだ?」という一言で頓挫してしまうと。

これは、いま日本の閉塞感を醸し出している悪い病気だろう。これを「NDS症候群」と名付けたい。すなわち「N=何かあったら D=だれが S=責任を取るんだ?」。

この一言で、多くのアイデア、ビジネスプラン、イノベーション、進取の気質、希望が闇に葬り去られたに違いない。

事実、自動お掃除機のルンバの原案は、日本メーカーが開発していたが、NDS症候群によって発売は見送られた。「誰もいない家で発火したらどう責任を取れば良いのか」との指摘が決め手だったそうだ。

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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