「図書館戦争」という映画が4月27日、全国で封切られました。作家・有川浩氏の代表作で、国家によるメディアの検閲が正当化された日本を舞台に、良書を守るため戦う自衛組織「図書隊」の若者たちの成長や恋を描く内容です。
これはフィクションの世界ですが、リアルの世界では、もう一つの「図書館戦争」が始まる可能性が高いのです。それは、全国の図書館がこれから「存亡の危機」を迎えかねないことなのです。
神奈川県では昨年11月、県立図書館(横浜市西区)の閲覧・貸し出しの廃止や川崎図書館(川崎市川崎区)の統合問題が浮上し、大きな騒ぎになりました。
結局、県民から要望の多い閲覧については存続する方向になり、川崎図書館についても同市内に残す方向性が打ち出されました。
しかし、全国の図書館では、統廃合や予算削減の話が引きも切らず、今後、国内の多くの図書館が存亡の危機にさらされることになりそうです。
日本国内の図書館は1990年に1950だったのが2008年度に3165に達するなど、館数は急速に増えました(文部科学省「社会教育調査」)。
ところが、館数が増加しているにもかかわらず、資料費も司書の人数も減少しています(同省「社会の変化と図書館の現状」)。