全身にがんが転移した女性の最後の2年間を記録したドキュメンタリー「いのちを楽しむ―容子とがんの2年間―」(2013年、カラー102分)が、6月1日より東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで上映される。
女性は最期まで自分の人生の主人公であり続けようとするが、病状の悪化を前にそれもままならない。死が迫る様子が酷薄な半面、家族や友人らに見守られながら息を引き取る女性の姿は、幸せであるようにも見える。
同作品は、40才で乳がんを発症した渡辺容子さんが2012年3月に58才で亡くなるまで、病と向き合いながら生きる最後の2年間の姿を克明に追う。
渡辺さんは『患者よ、がんと闘うな』などの著書がある近藤誠医師を主治医に、切除や抗がん剤の投与などを行わない「がんと闘わない生き方」を実践。当初は「がんは脳卒中や心臓病よりも楽に死ねる」と話していた渡辺さんだが、末期にはがんの骨転移にともなう激しい痛みに悩まされるようになる。思い通りにならない「死」にほんろうされる姿が痛ましい。
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