6月に閉会した通常国会で、環境法が「改悪」されたとの批判の声が上がっている。放射性物質の監視権限が環境省に一元化され、原発事故によって新たに大気や水が放射能に汚染された場合、地方自治体の観測データが環境省の都合のいいように扱われる恐れもある重大な内容だ。
法案は4月に閣議決定され、5月に衆議院を通過、6月中旬に参議院に回された。法案名は「放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案」。中央環境審議会への諮問やパブリックコメントなどの手続きは一切なく、環境団体も参院環境委員会の審議入りで気付く「不意打ち」状態のまま、6月17日に可決・成立した。
大気や水、土壌などの環境汚染物質は、環境基本法の下にある12の関係法令で規制されてきた。唯一、例外だったのが放射性物質とその汚染物。福島第一原発事故以前は、原子力関連施設や医療機関などを超えて、一般環境中に大量の放射性物質が放出されることは「想定外」で、その扱いは原子炉等規制法などに限られていたからだ。
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