原発は本当に安全なのか、原発がないと本当に電気は止まるのか。『原発をやめる100の理由――エコ電力で起業したドイツ・シェーナウ村と私たち』(築地書館)では、自然エネルギー100%の電力会社シェーナウがまとめた『原子力に反対する100個の十分な理由』に、日本の実情を付け加えた。
本書を執筆したのは、「原発をやめる100の理由」日本語政策委員会の有志10人。発起人の曳地トシさんは「事実を書くことで感情的にならず、原発には疑問を感じるけれど経済成長のためには仕方ないと中間で揺れている人たちに読んでもらいたい」と話す。
例えばドイツでは1993年、「自然エネルギーは将来的にも電力の4%しかまかなえない」という電力会社の広告が出され、現メルケル首相も当時、それを鵜呑みにした発言をしたことがある。
しかし今日のドイツではすでに約25%を自然エネルギーでまかない、ドイツ連邦環境省は「2050年には100%も可能だ」と予測している。原発がないと経済が立ち行かないと信じている人たちは、このドイツの変わりようをどのように見るだろうか。
民主主義とは、知る権利、選ぶ権利があること。正しい情報なくして、正しい選択はできない。
本書を読むと、日本とドイツの相違点と共通点を理解し、ドイツが成し遂げた脱原発決定を、日本でもできると感じる人は少なくないだろう。リスクを知ったうえで、原発を受け入れるのか、脱原発の社会を選び取るのか、一人ひとりに決めてほしい。
末尾には京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏のインタビューも掲載。(オルタナ編集部=独ハノーバー・田口理穂)
◆「原発をやめる100の理由――エコ電力で起業したドイツ・シェーナウ村と私たち」
出版社:築地書館
監修:西尾漠/著:「原発をやめる100の理由」日本版制作委員会
定価:1,260円(税込)