全国の母親らが脱原発と脱被ばくの願いを短冊に記し、安倍首相や国会に届けることを目的とした集会「100万人の母たち 七夕プロジェクト ~首相に願いを~」が7日昼、首相官邸前で行われた。子どもを連れた母親を中心に、参加者は用意された笹に「外でたくさん遊びたい」「健康で元気な子供が出産できるように」などと書かれた短冊を結びつけた。
「100万人の母たち」は写真家の亀山ののこさんが中心となって呼びかけ、同実行委員会が主催。亀山さんは東電原発事故後に九州へ移住し、脱原発を願う母子を撮影した写真集『100人の母たち』を出版した。
集会の冒頭、亀山さんは「私たちはこの国の主権者、大人として、福島を始めとする各地で子供の命が傷つけられ、無視されている状況に黙っていることはできない。福島第一原発事故が収束していないのに再稼働を進めようとしていることにも黙っていられない」と呼びかけた。
また、福島県内の市民グループ「ハイロアクション」の武藤類子さんは「事故から2年3か月が経つが、福島の状況は何一つよくなっていない。今もたくさんの放射性物質が空気中や海に放出され、除染が終わっても年間1ミリシーベルト以下にならない場所では『ガラスバッジ(線量計)を配るから、自分で(被ばく線量を)管理しろ』と政府が言っている。『子ども・被災者生活支援法』には一つも具体策が決まらず、1円の予算もつかない。しかしこのような絶望的な状況の中、小さな小さな明かりをたぐりよせるように、この場所にたくさんのお母さんたちが集まっている」と語った。
参加者の一人で、5才の子を持つ世田谷区在住の母親は「事故後、保育園で牛乳を飲ませないようにしている。食品の放射能については絶えず敏感になっていて、気を抜いてはいけないと思う。子どもを守れるのは親だけ」と話した。
参加者数は主催者調べで800人。全国から寄せられた約2万枚の短冊のメッセージは、今後「100万人の母たち」のウェブサイトに掲載するという。(オルタナ編集委員=斉藤円華)