東電原発事故後に設けられた避難指示区域の見直しで、国は避難や除染を望む住民の声をよそに、住民の帰還に向けた動きを進める。「避難基準は住民参加を通じて見直すべきだ」とするNGOらは31日、帰還のあり方の改善を求めて都内で政府との交渉に臨む。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■避難の指定と解除「説明なし」
年間積算線量が20ミリシーベルト以上の「帰還困難区域」の外側に点在する、放射線量が高い地点(ホットスポット)を指定する形で設けられた「特定避難勧奨地点」だった場所では、避難していた住民が依然として放射線量が高い地域への帰還を迫られる事態が起きている。
福島県伊達市小国地区は2012年12月に指定が解除されたが、空間放射線量が放射線管理区域の基準である毎時0.6マイクロシーベルトを上回る地点が今も多い。住民への賠償も指定解除の3カ月後に打ち切られた。
しかも、指定と解除は住民の意向とは全く無関係に行われ、住民説明会なども開かれなかったという。同地区から避難中の住民は、NGOの聞き取りに対して「たった1回の除染と測定で高線量の地域に戻されるとは思いもしなかった」と話す。
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