福島県伊達市で2012年12月、東電原発事故にともなう特定避難勧奨地点の解除が住民の意向を確認せずに行われた問題で、市民らによる政府交渉が7月31日に都内で行われた。この中で、国の原子力被災者生活支援チームの担当者は「解除に際しては伊達市と相談の上、住民に書面で通知した」と経緯を説明した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
特定避難勧奨地点は、計画的避難区域や警戒区域の外側にある、積算線量が年間20ミリシーベルト以上の地点(ホットスポット)を対象に11年6月以降に設定され、伊達市では小国地区など128世帯が指定。解除後も6月時点で81世帯284人が自主的避難を続ける。
「福島老朽原発を考える会」の阪上武代表は「特定避難勧奨地点の指定を、住民の要望を無視して地区ごとではなく世帯ごとに行った。それによりコミュニティの崩壊が現に起き、避難した人が帰還しにくい状況が生じている。そうした中で『ニュースの報道で初めて知った』と言われるような形で一方的に解除し、3カ月後に賠償も打ち切った」と国の対応の問題点を指摘。「自治体と協議しただけでは住民の意向を把握したことにはならない。なぜ住民との協議の場を設けなかったのか」と問いただした。
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