いまそこにある明日への警鐘――反原発へのいやがらせの歴史展

差出人匿名で郵送されてきた、盗撮写真や脅し文

もし、突然あなたの隠し撮り写真やタバコの吸い殻が差出人不明の郵便で送られてきたら。それが、反原発運動に少しでもかかわっただけで。この日本社会に潜む危うさ、巣くう闇を白日の下に晒したのが「反原発へのいやがらせの歴史展」(8月10・11日、新宿区立区民ギャラリー)だ。(文・写真=美術・文化社会批評 アライ=ヒロユキ)

盛況の展覧会場

本展はその名の通り、反原発運動の参加者に「何者」かが行った膨大ないやがらせ行為の展示。日本の反原発運動は、1986年のチェルノブイリ原発事故を契機に政治に無関心だった層まで裾野を広げた。いやがらせ行為はこの運動の盛り上がりを背景に、1980年代から90年代にかけて主に行われた。日本社会で市民運動がどう遇されたかを知る貴重な資料展と言える。

無言電話も数多くあったというが、展示は郵送物が中心で、原発関連の歴史資料なども補足展示。いやがらせ行為のいわば証拠物件は多岐にわたっている。冒頭に紹介の隠し撮りや自宅周辺の写真、日頃の行動範囲を指摘した文書。関係者の実名多数をあげての性的嫌がらせの文。卑猥なイラストや新興宗教(オウム真理教など)の勧誘案内。名を騙っての偽装発注(273万円ものトラクターの契約書も届いた)。

手の込んだいやがらせ文のひとつ

さらに、不正に抜き取られて送りつけられた別人宛の郵便。これらは全国各地、果ては海外からも送られ、実行組織の資金力、人員の豊富さをうかがわせる。現在残された郵送物は数千通だが、全体推計で数十万通にも上るという。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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