福島第一原発事故によって放射能汚染の被害を受けた南相馬市では、飲料水(水道水)の放射線量モニタリング検査を行っているが、「不検出」と発表されている。それでも、小さな子どもに与える影響を思うと「安全かもしれないが、安心はできない」と感じる親も少なくない。そこで、その不安を少しでも解消するため、山形県から南相馬市内の幼稚園・保育園に手渡しでペットボトルの水を届けているのが、「30tProject」だ。(フリーライター・今一生)
30tProjectでは、インターネット上でペットボトルの水の寄付を呼びかけたり、米沢市のライブハウス「LIVE A_R_B」や山形市宮町にある「ベニバーズとうかい」の協力のもと、500円で1ケースを買える仕組みをつくったり、ペットボトルの水を集めている。
ボランティアで携わるメインスタッフは4人で、ほかにサポートが6人しかいない小さな団体だが、2012年4月から今年6月まで配達は13回に及び、すでに21トンの水を運んだ。
須貝賢代表(37)は、言う。
「幼稚園の先生から話を聞くと、保護者の方は『一番助かるのは水』と言っているそうです。飲み水だけでなく、口に入るものを入れる食器も安心して使いたいので、洗い物も含めてペットボトルの水が必要なのです」
山形~南相馬間を往復するためのガソリン代は、活動開始以来、「ずっと自腹」だったが、「ここ2カ月。山形で協力してくれている人たちがオリジナル雑貨を作り、『ベニバーズとうかい』で販売した収益をガソリン代に提供してくれています」という。
「震災から2年経ち、人々の関心が薄れてきており、これから5年、10年この活動を続けてやれるかといえば、正直、先はわかりません。それでも、やれることはやりたい。なるべく長い期間続け、子どもたちの未来が少しでも明るくなってほしい。このプロジェクトや、福島の現状をもっと多くの方に知ってもらいたいです」(須貝さん)
水の寄付は、同団体のブログにある連絡先で受け付けている。