オリーブ染めの布製品ブランド「糸へんのものづくり」(東京・国立)の織物・染色作家である藤井智佳子さんは、自宅アパートのベランダの手すりにソーラーパネルを結び付け、必要な電力を調達している。2012年9月に東京電力からの電力供給の契約を解除し、ちょうど1年が経った。(フリーライター・今一生)
2011年8月、東日本大震災発生から5カ月後、藤井さんはソーラー発電を開始した。震災・原発事故による計画停電があり、防災用にソーラー発電がほしいと考えたからだ。
その後、2012年9月には東京電力からの電力供給の契約を解除。家電を省エネタイプに買い替え、仕事で毎日使うアイロンも炭アイロンを中心に使うようになった。手回しラジオ、ソーラースタンド、らんたんなどを使うことで節電を工夫し、エアコンや冷蔵庫も手放した。
2013年3月末、原発に頼らずに自然エネルギーでの暮らしを目指す人たちの情報交換の場として「ソーラー女子」というホームページを開設。「電気代0円」の生活を紹介すると、知り合いや近隣住民、OLらが藤井さんの自宅に続々と見物に訪れた。
6月には、ペダルを踏むサイクル式の健康器具にモーターがついた人力発電機も導入し、洗濯機を使えるようになった。1時間こいで60ワットの電力を作れるため、日照時間が少ない梅雨時でも安心だ。
藤井さんは同サイトで「エクササイズと発電が一緒にできます。これで梅雨時もばっちりです。風力でもなく雨水でもなくなんと人力! 都会のアパートならではの発電ですね」と電力自給生活について語っている。