「安倍首相の発言ははっきり言ってウソ」。3・11以降、東電原発事故にともなう放射能汚染の実態調査を行ってきた国際環境NGOグリーンピース・ジャパンの担当者は9日、2020年夏のオリンピックの東京招致活動での安倍首相の汚染水流出をめぐる一連の発言を厳しく批判した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■貝類から90ベクレルの放射性セシウム
「日本が本腰で取り組むべきは、原発事故の収束と、今も避難している人々の救済のはず。安倍首相はオリンピック招致をアベノミクスの一つと考えているが、それは違う」。同NGOで核・エネルギー問題を担当する鈴木かずえ氏は語気を強める。「汚染水は福島第一原発の港湾内で完全にブロックされていると安倍首相は言ったが、放射性物質による汚染の影響は原発周辺の魚介類に及んでいる」
グリーンピース・ジャパンは東電原発事故直後から、放射能汚染の調査を継続して実施。関東から東北にかけての太平洋沿岸や日本海沿岸での海洋調査、スーパーに流通する魚介類を対象とした放射能調査を続ける。
今年6月に行った20回目の海洋調査では、福島県内の5つの港で水揚げされた計25サンプルの海産物の内、8点から放射性セシウムを検出。最も高く汚染されていたのは福島第一原発から南へおよそ10kmの富岡港で採取したバテイラ(シッタカ)と呼ばれる貝類で、検出値はセシウム134が1キログラム当たり約30ベクレル、セシウム137が同約61ベクレルだった。