全国で稼働する原発がゼロであることを知っているのは、わずか15%――。大阪大学の大澤五住(おおざわ・いずみ)教授が同大学の1年生を対象に行ったアンケートで、現在の日本の電力供給に占める原発の比率について、大半の学生が正しく理解していないことがわかった。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
アンケートは10月2日、大澤氏が担当する、環境問題をテーマにした講義の初回の授業で実施。同大学の理工系学部に通う1年生113人が回答した。それによると、原発を今後どうするべきかについてたずねる質問では、「今すぐ稼働を停止し、二度と使わないで廃炉にする」と答えた人は6人(5.3%)にとどまる一方、少なくとも一部の原発については再稼働を認める意見が全体の9割を占めた。
そして、現在の日本の電力供給に占める原発の比率について、「0%」(稼働ゼロ)と回答したのは17人(15%)だったのに対し、最も回答が多かったのは「15%」で22人に上り、次いで「20%」が22人、「10%」が19人と続いた。「25%」と答えた人は11人で、「30%以上」と答えた人も12人いた。
国内の原発は関西電力大飯原発4号機が9月15日に停止して以降、稼働ゼロの状態が続く。ところがアンケートに答えた学生の大半はその事実を知らず、原発が稼働しているものと思い込んでいた。大澤教授は今回の結果に「正直びっくりした」と話す。
「多くの学生が、新聞やテレビニュースを見ていないのではないか。高校や大学でも原発が授業で取り上げられたり、話題となったりする機会はほとんどない。そもそも社会全体が話題のテーマから原発を避けている風潮もあり、一般を対象に同様のアンケートを行っても似たような結果になると思う。メディアもその責任の一端を担っている」(大澤氏)
大澤氏はアンケート結果を14日、自身のブログで公開。「原発が今この瞬間も使われているという誤解は、それがどうしても必要だ、再稼働できないと電気が足りないだろう、という間違った結論に直結する」と警鐘を鳴らしている。