「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は9月27日、第5次となる評価報告の第1作業部会報告書(*)を発表した。ストックホルムで作業部会に参加したWWFジャパン自然保護室の小西雅子次長に、IPCCの意義となぜ気候変動対策が必要なのかについて2回にわたり寄稿してもらった。
◆「21世紀半ばの夏に北極海の氷がなくなる?」――IPCC第1作業部会報告(上)はこちら
■ 温暖化対策の国際交渉はIPCCの報告に基づいて議論される
6年ぶりに発表された国連の温暖化の科学の報告書IPCC第1作業部会報告書が注目を集めています。100年後の気温予測や、異常気象や海面上昇など影響予測まで、深刻化する一方の温暖化について報告されています。
しかし一方で、なぜIPCCの報告書が、世界中の政府が集まる国連の温暖化対策の国際交渉の基礎資料とされるほど信用されるのか、懐疑の声もいまだ聞かれます。
IPCCの役割は政策決定の際に参照されるためであり、こうするべき、といった指示は行いませんが、世界の経済を左右する温暖化政策の決定に大きく影響を与える科学の報告書です。
そのため、IPCCは成り立ちから報告書の発表に至るまで、非常に注意深く中立性と透明性が確保されています。
IPCC第1作業部会の総会に参加した際の報告をしながら、IPCCの役割についてお伝えし、11月に行われる国連の第19回気候変動枠組条約(COP19)へ向けて日本に求められていることを考えていきたいと思います。
(*)IPCCには3つの作業部会がある。第1作業部会は「自然科学的根拠」、第2作業部会は「影響、適応、脆弱性」、第3作業部会は「緩和策」がそれぞれ評価される。第2作業部会は2014年3月に横浜市で開催される予定である。