東北で人々の対話を収録した「東北記録映画三部作」が、11月9日に公開される。うち2作品は、東日本大震災を経験した夫婦や友人など親しい2人組が語り合う様子の記録だ。酒井耕監督と濱口竜介監督は、敢えて字幕も説明も加えず、聞く人と語る人の表情や声で、被災の「実感」を100年先まで残そうと試みた。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)
「3がつ11にちをわすれないためにセンター」は、仙台の市営文化施設「せんだいメディアテーク」を拠点に「記憶の蓄積」を続けている。母校の東京芸術大学から声が掛かり、同センターの活動に参加した濱口監督は、2011年5月に宮城県石巻市を訪れた。
「ある方が体験談を話してくれたときに初めて自分にも見えたイメージがあった。それで『語り』を撮ろうと決めた」。その2カ月後、同大学院映像研究科時代の先輩である酒井監督と映画づくりを始めた。
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