CSVからCSR へ: ビジネスのネガティブな社会的影響を忘れるな(CSRmonthlyから転載)

このタイトルを見て、「CSRからCSVへ」の間違いでは、と思われた方もいるかもしれないが、誤植ではない。

改めて説明するまでもないが、ハーバード・ビジネススクールのマイケル・ポーター教授は、「CSR からCSV へ」というフレーズでCSV の概念の普及を図ろうとしている。

ビジネス戦略の中に、社会課題の解決を取り込んでいく概念は、ビジネスで上げた利益を慈善的な寄付行為に活用するよりも、持続的で、かつ大きな社会的インパクトをもたらすことが期待される。

企業にとっては、特に株主というステークホルダーに「なぜその特定の分野や組織に寄付をするのか」を的確に説明する事は容易ではないが、「社会課題の解決に資するビジネスで、利益も出る」CSV は遥かに説得力を持つのは疑問の余地のないところであろう。

しかしながら、少なくとも「CSR からCSV」という表現は誤解を招く恐れがあることには注意が必要である。ポーター教授は、論文の中でCSV の概念を際立たせるために、CSR を慈善的寄付中心の米国の古典的な概念で位置付けている。

これは、少なくとも現在の日本や欧州でCSR のベースとして理解されている、EU やISO26000 の社会的責任の定義とは異なるものである。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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