かつて沖縄返還にともなう日米密約をスクープした元毎日新聞記者の西山太吉氏が21日、参院国家安全保障委員会に参考人招致された。西山氏は秘密保護法案について「外交に関する全ての情報を特定秘密に指定できることになる」と指摘し、「日本は隠し事が多いから歴史を検証できない」と述べた。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
西山氏は日本版NSC(国家安全保障会議)の設置について「沖縄返還交渉時、米国はNSCの下に担当部局が結束して交渉に当たったが、日本は各省ごとがバラバラのまま交渉に臨んだ結果、米国の要求をことごとく飲まされた。それが密約につながった」と当時を振り返り、「NSCが組織の縦割りを排して機能し、調整能力を発揮すればいいが、楽観はできない」と主張。
「米国が国防費を削減しながら東アジア重視の戦略を実現するには、日本の絶対的な協力が不可欠だ。日本が主権性を維持しながら日米同盟を運用させればいいが、現実には中国や朝鮮半島との緊張を煽りながら日米同盟を聖域化する動きがある」と危惧した。
そして「日米安保が日本存立の生命線と言うならば、それに関して取り決めや結論が出たら、全部国民に正確に公表し説明しなければならない。そこが秘密になれば国民主権と民主主義は崩壊する。決定事項が必ず公開されれば、国民はNSCに信頼を置ける」と述べた。
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