政府が策定を進める新たな「エネルギー基本計画」は、早ければ年内にも方針が示されることになっている。しかし、原発推進が明記され、自然エネルギーについては具体的な数値目標に触れない可能性が高い。
そんな中、自然エネルギー財団は2日、「原発ゼロによる日本経済の成長戦略」を軸とした「エネルギー基本計画」への提言を発表した。(ノンフィクションライター 高橋真樹)
自然エネルギー財団の提言は、3つの観点を柱にまとめられている。
1つ目の柱は、原発からの脱却を進め、廃棄物など負の遺産の増加をストップすることだ。福島第一原発事故以来、さまざまな世論調査が行われてきたが、いずれの結果も「原発ゼロ」に至る過程や速度に違いはあっても、原発依存からの脱却という意思は国民が広く共有している。
にもかかわらず、「エネルギー基本計画」の審議委員のメンバーが原発推進派で固められるなど、正当性を欠いた形で議論が進められている。
国民の意見を取り入れ、原発ゼロの方針をはっきりと定めることで、原発維持にかかる年間約1兆円ものコストが削減することが可能だ。
原発再稼働を前提として放置されている老朽化した火力発電所を高効率化することで、燃料費の増加にも対応することができる。
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