NPOシゴトノアトリエ(東京・北「区」)は1月4日、1周5キロメートルを2人1組で走る「One for One 皇居マラソン」を開催する。独自のルールを設け、引きこもっている若者やニート、精神科通院者など、ふだん運動をしない人でも参加しやすくし、就職や外出などの動機づけを行ってきた。(フリーライター・今一生)
皇居マラソンでは、歩いても休んでもいい、ペアを組み遅い方に歩調を合わせる、同時にゴールする――などユニークなルールを設定している。年々参加者が増え、2013年の第6回までに全国からのべ500人ほどが参加した。
公式サイトには、過去の参加者たちの声が以下のように紹介されている。
「高校からひきこもっていたけど、このマラソンに参加した後、『運動した後は気持ち良い』っていうシンプルな部分を感じることができ、近くにあるサイクリングロードを、自転車でちょこちょこ走りにいくようになった」(男性)
「6年間ひきこもっていたけど、参加した後、昔乗っていたバイクを復活。バイクを楽しいと思うようになれた。プールにも通い、ファミレスでバイトも始めた」(女性)
「家から駅まで15分歩くだけで喘息が出てひーひー言っていたくらい体調が良くなかった。このマラソンでは遅い方に合わせるのがルールになので、合わせてもらうのが申し訳ないなと思わないですんだ。参加してみたら普通に5キロ走れた」(女性)
第7回を迎える今大会では、皇居(東京)だけでなく、地方での同時開催を呼びかけている。かつてこの大会にスタッフとして参加した人によって、自分の地元で同様のマラソン大会を開催する動きが出てきたからだ。
シゴトノアトリエ代表の遠藤一さんは、「運営・広報・資金調達ノウハウなどをすべて教え、スカイプなど無料通話での複数回の会議、当日も緊急トラブル対応相談などで全面バックアップします。初回の参加者は5ペア10人程度で上等です」
「One for One 皇居マラソン」では毎回、走り終わった人たちに食事が与えられ、自己紹介をすごろくで行うゲームなどに興じる。その後、前回では「クズ選手権」と称するトークイベントが行われ、好評を博した。
これは、自分の人生がどれだけダメだったかを語り、参加者全員の投票によって一番多くの共感を集めた人が参加費の半額を受け取れるというもの(残り半分は被災地・石巻のNPOに寄付)。今回から「クズ選手権」にだけ参加することもできる。
自分の人生を再起動させたい人には、絶好のチャンスかもしれない。