農水・厚労省、残留農薬基準値を最大2000倍に緩和へ

国際環境NGOグリーンピースが展開する「緊急オンライン署名」

厚生労働省が2月上旬にもミツバチ大量死の原因とされるネオニコチノイド系農薬クロチアニジンを含めた農薬の残留基準値を引き上げると報道された。これを受け、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、緊急オンライン署名を呼びかけている。クロチアニジンの場合、シュンギクは50倍、ミツバは1000倍、カブの葉にいたっては2000倍と大幅に緩和される見込みだ。(オルタナ副編集長=吉田広子)

ネオニコ系農薬は、中枢神経に働きかけ、極めて分解しにくく強い毒性と浸透性を持つため、従来の農薬よりも散布量、散布回数ともに減らせるとして、多くの農家が使用している。

今回対象となったネオニコ系農薬クロチアニジンは、ミツバチを保護するためにEU(欧州連合)で2013年12月に一時的に使用禁止になったばかりだ。

グリーンピース・ジャパンは、「現在でさえ日本の残留基準値はヨーロッパの2倍~100倍も緩く設定されている。日本の残留基準の引き上げは、全く逆行した流れ」と厳しく批判している。

所管は厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課で、農林水産省からの要請を受けて厚労省が審査を行った形だ。

農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室の担当者は、「農薬メーカーなどの使用者から、殺虫効果を高めるために基準値の引き上げを求める申請があった」と説明する。

ネオニコ系農薬は、ミツバチ大量死の原因とされるだけでなく、人体への影響も懸念されている。

欧州食品安全機関は「ネオニコ系農薬(アセタミプリドとイミダクロプリド)は人間の学習や記憶のような機能に関係する神経と脳の構造発達に有害な影響を与える可能性がある」と発表している。

オンライン署名は2月3日までグリーンピース・ジャパンの公式サイトで受け付けている。

◆ 【緊急オンライン署名】農薬の残留基準を上げないで!(2月3日まで)

◆「食品、添加物等の規格基準の一部改正(食品中の農薬(クロチアニジン)の残留基準設定)」に関する意見の募集について/命令等の案
※パブリックコメント用の資料です。対象品目と基準値案が確認できます

◆「ミツバチ大量死はネオニコ系農薬と強い相関」、金沢大学の教授らが論文発表

◆ミツバチが生きた島、死んだ島―長崎県から報告

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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