ASC(水産物養殖管理協会)認証付きの養殖サケの販売が、3月1日から「イオン」425店舗で始まった。ASCは持続可能な養殖水産物の国際的な認証制度。今回イオンの店頭に並んだ「トップバリュ 生アトランティックサーモン」がアジアで初めて流通するASCマーク付き商品となる。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)
ASCはMSCに並ぶ海のエコラベルとして、オリンピック会場のレストランでも採用されてきた。2012年のロンドン、2014年冬季のソチでは、ASCかMSCの認証を得た持続可能なシーフードのみを扱った。2016年のリオデジャネイロでも、すでに同様の取り決めが発表されている。
MSC(海洋管理協議会)が天然魚介類の漁業を対象とする認証制度であるのに対し、ASC(水産物養殖管理協会)は魚介類の養殖場を対象としている。養殖場は、稚魚や餌となる魚の乱獲、餌や薬の投与による環境汚染など、世界各地で課題を抱えていた。ASCは、その解決を図るために2010年に設立された。
認証基準は、環境のみならず養殖現場での労働条件など社会的な要素も加味して決められる。品目ごとに、漁業者を含む幅広い関係者の意見を反映して策定する仕組み。世界自然保護基金(WWF)がまとめ役を務めて、これまでに12品目の基準が定められている。
2012年に初めて、ASC認証付きのティラピアとパンガシウス(ナマズ類)の流通が欧州で始まった。現在は、約1000製品が35カ国で流通している。今回イオンで販売が始まったのは、総合水産企業レロイ社が経営するノルウェーの養殖場で育てられたタイセイヨウサケである。
ASCのクリス・ニネスCEOは、「いまや養殖魚は、世界で消費されている魚の約半分を占めている。養殖魚の認証制度は他にもあるが、ASCが最も信頼性の高い仕組みだと自負している。これまで、エビやサケなど品目別に8種類の認証基準を設けたが、効率的な運用のために、多品目に共通するコア基準づくりを進めているところだ。海藻についての基準づくりを求める声もあり、今後、認証できる品目は増えるだろう。日本中にASCマークが広がっていくことを願っている」と語った。