米ワシントン特別区の控訴裁判所は4月14日(米国時間)、米証券取引委員会(SEC)による「鉱物に関する情報開示の義務付け」について、米国憲法に違反するとの判決を出した。米ワシントンポストなど米国メディアが相次いで報じた。
SECは、ドッド・フランク法によって、ニューヨーク証券取引所など米国で上場している企業に対して、鉱物の調達先や調達ルートを開示することを義務付けていた。
アフリカ中部のコンゴなどにおいて、タンタルなどのレアメタル(希少金属)生産が非合法組織への資金源や児童労働を引き起こしている可能性があるからだ。
これはいわゆる「紛争鉱物」問題として、日本企業の間でも2010年ごろから対応を迫られていた。今回の違憲判決は控訴審のため、最終的な司法判断ではないが、SECの情報開示方針が変更を余儀なくされる可能性がある。
今回の判決は、営利広告は経済活動の自由であり、さらには「表現の自由」を保障した「米国憲法修正第一条」に違反したという内容だ。
SECという公共機関による「開示義務付け」という行為が、立法府の広範な裁量権に属するかどうかが争点で、今回の判決は、SECの義務付け行為は裁量権には属さないことが明示された形だ。