「原発ゼロ実現には行財政改革が不可避」。有識者や市民らがまとめた「脱原子力政策大綱」に携わった学者らが8日、都内で開かれたセミナーで講演し、「脱原発実現に向けた公論の形成を」と訴えた。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
大綱は、3・11を受けて脱原発実現に向けた提言を行うことなどを掲げる「原子力市民委員会」が4月に公表。東電原発事故にともなう賠償や復興に加え、原発ゼロ社会への道筋や民主的な政策実現の条件などを網羅している。
セミナーは原子力市民委員会ほかが企画し、大綱の執筆に参加した立命館大学の大島堅一教授が「原発ゼロ社会への行程の基本的アウトライン」と題して講演した。
この中で大島氏は「原発の維持に無理なリスクと費用が生じるのであればやめるべき。原発の安全対策に投資すれば運転して回収しなければならず、原発依存を深めるだけだ」と指摘。その上で「脱原発は自然に実現するものではない。行財政の仕組みを作りかえる必要がある」と述べ、国民的議論を行い、その結果を反映する形で行財政システムを変えるべきだと主張した。
1 2