東日本大震災にともなう東電原発事故で、今も多くの被災者が避難生活を余儀なくされている。ところが国は、避難者への住宅の無償貸与を今年度で打ち切る方針だ。原発事故子ども・被災者支援法ネットワークは14日、原発避難者への住宅の確保を求める集会を都内で開き、避難者らは「安定した住まいの確保を」などと訴えた。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■避難者「住まいを奪わないで」
「市の担当職員から更新手続きの度に『単身、独身で公営住宅に住むのはふさわしくない』と言われた」。福島県白河市から大阪府茨木市に2011年5月に避難した男性は証言する。
男性は市が用意した公営住宅で暮らす。無償だが、更新手続きは半年毎に行わなければならない。更新期限が過ぎてから、付箋紙で「この日付で出すように」と指示する申請書類が届いたこともあったという。
「担当者は異動で頻繁に交代し、しかも口々に『義援金をもらっているのでは』などと言われる。避難者への理解がなさすぎる。安定して住み続けられるようにしてほしい」と男性は憤る。
福島県内から札幌市内に避難している伊藤慈(ちか)さん、孝介さん夫妻は震災後に結婚し、避難先で1児をもうけた。市の民間借り上げ住宅は6畳にキッチンのみという狭さで「ベビーベッドが置けない」と窮状を明かす。
磯貝潤子さんは、原発事故後1年間は郡山市内の自宅で過ごしたものの、「とても子育てできる環境ではない」と感じて新潟市へ避難。「事故のせいで、洗濯物を干すというような『当たり前の生活』さえできなくなった」と当時を振り返った。