トウモロコシの葉の水滴から高い濃度でネオニコチノイドを検出――。国際環境NGOのグリーンピース・ジャパンはこのほど、グリーンピース本部が2013年12月にまとめたレポートの邦訳版を発表した。種子をネオニコチノイド系農薬でコーティングしたトウモロコシの葉の溢液(いつえき=水滴)から、ミツバチが一度摂取するだけでも、その半数が死ぬ量を大きく上回る濃度のネオニコチノイドが含まれていることがわかったという。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■ミツバチの急性経口半数致死量を超過
レポート名は「滴(したた)る毒」(原題:Dripping Poison)。グリーンピースが同年5月から6月にかけ、ハンガリーの2か所のトウモロコシ畑で行った調査の結果をまとめたものだ。
ネオニコチノイドは植物の内部に浸透する性質を持つ。ネオニコチノイド系農薬で包んだ種子が発芽すると、葉の水滴にネオニコチノイドがしみ出ることは、これまでの調査でも明らかとなっている。
畑ではそれぞれ、ネオニコチノイドのクロチアニジン、およびチアメトキサムを含む農薬で種子をコーティングしたトウモロコシを栽培。種をまいてから約3週間後、発芽して草丈が8~12センチ程度になった時点で葉の水滴のサンプル採取を始めた。サンプリングは1日おきを目安に、約2週間行われた。
そしてこれらのサンプルを分析したところ、ネオニコチノイドの残留濃度は採取開始当初から下がっていったものの、全期間を通して、ミツバチが葉の水滴を一度摂取しただけでも、急性経口半数致死量を大きく上回る濃度のネオニコチノイドが含まれていることが判明した。