味の素株式会社九州事業所 (佐賀市) で、 社会・地球への貢献を通じて経済価値を生み出す「ASV (味の素グループ・シェアド・バリュー)」の第一歩が始まった。「バイオマス産業都市」を目指す佐賀市と協働し、アミノ酸の製造時に生じる副生バイオマスを使い、 市が下水浄化センターで作る肥料の質を向上させ、 農産物の収量増加などを狙う。(オルタナ副編集長=吉田広子)
「茎が丈夫になって農薬をまく回数が減りました。しっかりしたアスパラガスが育つようになり、おいしくなったと評判です」
こう話すのは、佐賀市内でアスパラガスを生産する高橋恵子さんだ。
1年ほど前から、味の素の副生バイオマスを混ぜた肥料を使い始め、その効果を実感している。時期によっては、平均100g100円が相場のアスパラガスが、100g200円以上で売れることもあるという。副生バイオマスの力で地温が上がり、通常よりも早く出荷できるからだ。
アスパラガス最大の病害ともいえる「茎枯病」にもかかりにくくなった。収量の安定も期待される。「おいしい野菜を長く作り続けるために、無農薬栽培を目指していきたい。そのためには農作物が病気にならないことが重要なのです」(高橋さん)