メーベル・ウォン (CSR Asia シニア・プロジェクトマネージャー)
企業にとって、イベントのスポンサーになることは有益と思われている。しかし、実際にどのような効果があり、それをどのように測ることができるのか。コミュニティ投資という視点から企業によるイベントの効果について検証したい。
企業の間では、コミュニティへの投資として、イベントのスポンサーになることは受けがよく、2011 年、全世界におけるスポンサー出費額は486 億ドルに達した。2012 年にはさらに4.9%増え510 億ドルになると予想されている。
スポンサーは、顧客や他企業、政府機関の意思決定者などの幅広い人々にアクセスできることから、マーケティング・ツールとしても効果的だ。特にオリンピックのように世界中の観衆を引きつける人気スポーツのイベントでは、文化や言語の壁も超え、メディアを通して一般市民に好印象を与え、企業の認知度を高めることができる。そのため、スポンサーになることが非常に効果的であると考えられているのだ。
これら従来のマーケティング効果以上に、コカ・コーラなどの企業はスポンサーシップに、社会的価値の創造という大きな可能性を見出している。
コカ・コーラは、2012 年ロンドン五輪のスポンサーとなった。しかし、健康的なプロのアスリートが出場するイベントで糖分の高い飲料を宣伝するのは不適切だとして批判された。これを機に同社はスポンサーシップが社会にもたらすインパクトを検証。オリンピック会場で透明なプラスチックゴミを全て回収して新たなコーラのボトルに再生し、6週間以内に商品として棚に戻すという新たなCSR 活動計画を打ち出した。
そのために、西欧最大の食器用プラスチックのリサイクル施設を建設し、会場に飲料を配達するための14 台のバイオ・ガストラックに投資した。そして、スポーツ慈善団体のストリートゲームスと共に11 万人の子どもたちがスポーツに参加できる機会を提供した。
ますます高まる企業のイベント支援の機運
企業がNPO と提携し、社会的インパクトを高めることは「意義あるマーケティング」として人気がある。また、環境問題が深刻化する中で、大規模なイベントはコミュニティの発展やスキルの向上といった広範囲での効果が期待される。