新潟県加茂市の小池清彦市長が「小中学生は自転車に乗らないで」と近く文書で呼びかける考えを示したと、23日に新潟日報が報じた。自治体が小中学生を対象に、日常的に自転車利用を控えるよう呼びかけるのは異例という。文書について市教育委員会は「配布前なので内容は明かせない」としている。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
記事によれば、文書の配布は8月に市内で自転車に乗っていた中学生がはねられ死亡した事故を受けた措置。市議会9月定例会で、小中学生の交通安全施策を問う一般質問に対して小池市長が答えた。
この中で市長は「車が多く危険だが、小中学生が随分と自転車に乗っている。やむを得ない時以外は自転車に乗らなければ事故は起きない」と主張した、とされる。
「自転車ツーキニスト」として知られる疋田智氏は自身のメールマガジンで24日、この話題に触れた。疋田氏は「本来ならば不幸な事故が起きた、だから、教育を徹底する、(交通)インフラを整備するというのが常道だろう」と問題点を指摘。
その上で「危ないから隔離、禁止ではなく、危ないから危なくならないように教える(べき)」「(子どもたちの)自転車禁止が解けた後、交通ルールを知らないまま路上に放り出される」などと批判している。
新潟日報の報道について市教委の担当者は29日、「自転車に乗らないよう、小中学生に求めるものではない」と話した。その一方で文書の詳しい内容については「配布前なので公開できない」と言葉を濁した。また配布時期についても「早々に配る予定」と述べるにとどまった。
国交省と警察庁は2012年11月に「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を発表。自転車の安全で快適な通行と、歩行者の安全性が高まるような自転車の利用環境の創出が喫緊の課題だ、としている。自転車に乗らないよう求める施策は、国の方針にも逆行していないか。