マドレーヌなど焼き菓子を販売するアンリシャルパンティエは10月15日、新商品「ケーク・フロマージュ」の販売を開始した。この商品は、宮城県蔵王町の蔵王酪農センターと共同開発したもので、その売り上げの一部が復興支援につながる。アンリシャルパンティエなどを運営するシュゼットの蟻田剛毅社長は「本業を見つめ直したアンリシャルパンティエなりの『ストーリー』が根底にあった」と語る。(オルタナ編集部=佐藤理来)
■寄付つき商品に込めた思い
――2012年4月から、10年計画の東北復興支援「スマイルフォー東北フロム芦屋」に取り組んできたそうですね。
「スマイルフォー東北フロム芦屋」プロジェクトでは、対象の詰め合わせセットの値段は据え置きのまま、お菓子を1つ減らし、その差額を東北の支援団体に寄付しています。2012年4月に開始して以来、募金総額は約1500万円になります。
東日本大震災後が起きて、復興支援について考えた時、何億円も寄付するような目立つものは大企業の役割だと思いました。
中小企業は中小企業としてできることがあり、それは「小さくても継続すること」だと考えたのです。そのためにアンリがすべき支援は、お菓子作りという本業を通したものでしょう。
私たちは、単に寄付付き商品を売るだけではなく、開発の段階から東北の人々を巻き込むようにしています。東北の人たちも、支援を受けるという一方的な立場から、次のステージに向かっていると感じています。
今年の新商品「ケーク・フロマージュ」は、宮城県蔵王町の蔵王酪農センターと組んで開発しました。現地調査に行った社員がほれ込んだ蔵王クリームチーズの濃厚な味わいが売りです。また少量の白あんを使うことで、焼き菓子ながらしっとりとした生地を再現しました。今年は店頭での露出も増やし、より広めていこうと思っています。
■大切なのは自分の中の「ストーリー」を見つけること