龍谷大学農学部(2015年度開設予定)が主催する「食の循環」をテーマにしたトークセッション(全6回)が、伏見夢百衆(京都市伏見区)で開催された。最終回となる今回のゲストは、黄桜の若井芳則専務取締役。同学部に就任予定の教員らと、「京都産酒米から学ぶ『コメ』と『食の循環』」について語り合った。(オルタナS関西支局特派員=ヘメンディンガー綾)

■京都産のコメで京都の酒を
この日会場では、京都産酒米「祝」を100%使用した「京の滴 純米吟醸 祝米」が参加者に振る舞われた。
この酒には、ひとつの物語がある。一般的に清酒づくりには、「麹米」と「掛け米」用の2種類のコメを使う。「麹米」には、粒が大きく、たんぱく質含有量が少ない酒づくり専用の「酒造好適米」と呼ばれるコメを使用する。「祝」は1931年に誕生し、良質の酒米として高い評価を受けていた。
だが、穂丈が高く、農業の機械化に適さなかったことや、収量が少なかったため、1960~70年代にかけて生産が途絶えた。その後、1988年以降に伏見酒造組合の働きかけで試験栽培を開始。
現在では府内約140戸の契約農家が年間300トンを目標に栽培し、府内約23の蔵元が「祝」を使った酒づくりに取り組んでいる。こうした復活米を使用した酒づくりは全国的にも例が少ない。
一方、原料米の7割を占める「掛け米」には京都産の品種がなく、一般食用米が利用されることが多い。
「京都産のコメで京都の酒を」という酒造メーカーの要望を受けて、農研機構中央農業総合研究センターと京都府は新しい品種「京の輝き」を開発。2013年から京都府奨励品種として栽培がスタートした。
しかし、農業人口の高齢化や気候変動にともない、安定したコメの収穫が今後も懸念される。
若井氏は「清酒メーカーは年間約3万1千トンのコメを使用するが、そのうち京都産のコメは1000トンから1500トン。清酒の売り上げアップと、京都のコメ農家の収入安定が課題」と指摘する。