「斑点米カメムシ防除は無意味」農家ら訴える

米粒が黒く変色する「斑点米」を防ぐために、水田に農薬を散布するのは無意味だとする農家や市民らが5日、都内で集会を開いた。参加者らは「カメムシ防除のための農薬散布をやめて」などと訴えた。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

集会で発言するコメ農家の今野茂樹氏=5日、都内で
集会で発言するコメ農家の今野茂樹氏=5日、都内で

斑点米は、未熟な稲もみの中の汁をカメムシが吸う事で生じる。収穫した玄米を市場に出荷する場合、農産物検査法に従い検査を受け、等級付けされるが、1等米で許容される斑点米はコメ1千粒につき1粒(0.1%)以下。しかも、1等米と2等米では買取価格に60キロ当たり600〜1千円の差が生じる。

このため、コメ農家は農協の指導に従い、カメムシ防除を目的にネオニコチノイド系などの殺虫剤を水田に散布するのが普通だ。

秋田県大潟村で慣行栽培(一般的に農薬や化学肥料を使用する栽培)を行うコメ農家の今野茂樹氏は「被害がごくわずかしかないのに、カメムシが害虫に指定されているのはおかしい」と主張。

「気温や降水量、日射量などの環境は毎年異なり、年によっては殺虫剤を使わなくていい場合もある。しかし農協はカレンダー通りに農薬を散布するよう指導する」と述べ、カメムシ防除の問題点を指摘した。

さらに今野氏は「カメムシによる減収被害よりも、防除のための農薬代が高くつく。農協は農家に農薬を売るための組織になってしまっている」と訴えた。

集会の主催者で、今野氏が参加する「コメの検査規格の見直しを求める会」は3月、秋田県に要望書を提出。「コメの等級価格差が農薬の使用を助長している」として、適正な価格差にするよう農協に求める事などを要請した。

等級価格差について今野氏は「慣例によるもので、法的根拠や合理的理由はない」と話す。要請時に秋田県の担当者は「等級価格差は説明可能な根拠を持つべきだ、と農協に伝える」と話したという。

NPO日本有機農業研究会の安田節子理事は「日本のコメ流通は意味のない検査規格に縛られている。しかしこの事が国民には知られていない」と話した。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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