
NPO法人クロスフィールズ(東京・品川)が提供する「留職プログラム」は、企業が新興国のNPOなどへの社員の単身派遣で、NPOの支援をするとともに、社員の意識改革やスキルアップを狙った研修プログラムだ。お互いにWIN-WINの相乗効果があり、企業の注目を集めている。
今回は、この「留職」を企業側からインタビューしてみた。語り手は、日立製作所の情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部総務部人事教育グループ・清水佑亮さん、同社開発エンジニアの名島太樹さん、宮下純さんの3人だ。(聞き手:編集委員 高馬卓史)
■ 一人称で仕事をやり切る経験を
清水:当社としてはこの留職を、CSRというよりはむしろ人材育成として活用しています。
その狙いは、留職によって、一人称で仕事をやり切る経験をさせることが主眼です。日立グループとしてイノベーションを考えた時に、重要と考えたのが、リーダーシップです。
「Lead the self」という言い方をしていますが、まずは、自分自身をしっかりと鼓舞してリードしていく上で、チームをリードできる、という考えです。
その第1段階として、様々な枠を越え、一人称で行動できる人材になってほしいという願いを込めて、この留職を活用しています。
――ということは、やはり、将来を期待されている人材を留職に抜擢しているのでしょうか。
清水:必ずしも統一した基準があるわけではありません。
まずは本人が行きたいという思いを尊重しています。人によっては、上司を説得し、留職に参加する人もいます。ですから、本人のやる気と部署の期待という二つの基準で、留職に挑戦してもらっています。
名島:私の場合は、教育グループの人から、「こういう研修プログラムがあるけれど、どうか」という打診がありました。それで話を聞きに行って面白そうだということで、上司に願い出ました。
清水:当初は、どれだけ集まるのか分からなかったので、管理職に直接説明をし、候補者を募りました。その中で、名島さんの名前が挙がったということです。