今年9月末から九州電力をはじめ、合わせて5つの電力会社が、今後の自然エネルギー設備への接続を保留するという発表を行った。自然エネルギー事業者に衝撃を与えた「九電ショック」と呼ばれる事態を受けて、WWFジャパンは「本当に自然エネルギーをこれ以上電力網に入れられないのか」をテーマに、九州電力管内についてシミュレーションを実施した。分析の結果、既存の電力網に新たな投資をしなくても、十分に自然エネルギーの大量導入が可能であることが明らかになった。(ノンフィクションライター:高橋真樹)
◆カギは地域間送電線の利用
WWFジャパンは2011年から毎年、「脱炭素社会に向けたエネルギーシナリオ」を発表し、どのように日本の電力網の中で自然エネルギーを活かしていくかについて提案してきた。
その研究をベースに、今回は九州電力管内に限って詳細な分析を行うようシステム技術研究所に委託。11月11日にその内容を発表した。
九州電力や経産省の計算法では、現在設備認定されている太陽光と風力の設備1260万kWがすべて稼動した場合は、電力需要を上回る余剰が最大で年間152日も生まれてしまうと発表している。
しかし、アメダスなどの気象予測データを元に、より実際に近い方で分析した今回のシミュレーションでは、余剰日数は最大でも年間25日(時間数は88時間)で、電力会社が補償対象とする30日を下回ることになる。