「自分が使う電気は、自分で作れる」。配電網に接続しない「独立型太陽光発電」に取り組む人を訪ねようと、フリーライターが全国行脚を始めた。来年夏までに100件取材するのが目標だ。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

全国取材の旅に出るのは、食や農などをテーマに執筆するフリーライターの新井由己(あらい・よしみ)さん。3・11と東電原発事故をきっかけに、独立型太陽光発電に注目した。
「最初は自宅の屋根にソーラーパネルを設置して、発電した電気を電力会社に売電しようと考えた」と話す新井さん。ところが、こうした配電網に接続する方式の太陽光発電の「問題点」を知り、考えを改める。
「形の上では電力会社が電気を買い取るが、実際には国民が『再エネ賦課金』を通じて買取費用を負担しているに過ぎない。しかも、近所で電気が消費されなければ、せっかく売電した電気も無駄になっている可能性がある。そうした仕組みは利用できないと思った」(新井さん)
一方、独立型太陽光発電は、発電した電気をそのまま使ったり、蓄電池にためたりできる仕組み。夜間など、必要な時に自然エネルギー由来の電気が使える。
また、ソーラーパネルや蓄電池などを配線して簡単に自作することも可能だ。「藤野電力」をはじめ、参加者を募り小型の独立型ソーラーシステムを自作するワークショップが各地で実施されている。
何より、「自分が使う電気を自給できる」という明快さが独立型太陽光発電の利点だ。「(独立型は)すっきりして愉快。仕方なく電力会社の電気に依存している人は多いが、そこから自由になる唯一の方法だ」と新井さんは説く。