衆院選の公示が迫る中、自民党が20日、在京テレビキー局各社に対して「選挙報道に偏りがないように」とする内容の申入れを文書で行っていたことがわかった。独立メディアなどが27日に報じ、文書の画像がネット上で拡散するなど、話題となっている。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■報道内容に圧力、4項目
文書名は「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」。萩生田(はぎうだ)光一・筆頭副幹事長、福井照・報道局長の連名で、各テレビ局の編成局長、報道局長に宛てている。
この中で、2日公示の衆院選をめぐる報道について「特に衆院選は短期間であり、報道内容が選挙の帰趨に大きく影響しかねない」と懸念。
その上で(1)出演者の発言回数と時間の公平を期すること(2)ゲスト出演者等の選定も公平、公正を期する(3)テーマについて特定の立場からの意見の集中がないようにする(4)街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、特定の立場が強調されないようにすること、を求めている。
文中には「公平」「公正」という単語が繰り返し登場。しかしいずれの項目も、政権与党が報道や番組自体に介入し、自らの希望に沿った報道を行うよう、実質的に圧力をかける内容だ。
■安倍首相、街頭インタビューに激怒?
申入れに先立つ2日前の18日夜、安倍首相はTBSの報道番組「NEWS23」に出演。その際、アベノミクスの評価に関する街角インタビューの映像で、「全然効果を感じない。(効果は)大企業にしか分からないのでは」などと酷評する市民が登場した。
これに対して安倍首相は「(取材対象を)選んでいると思いますよ」などと色をなして反論。要望(4)は、こうした報道内容に対してクギを刺したものと言える。自民党幹事長室の担当者は27日、「申入れを行ったのは事実」と話した。