A SEED JAPAN(東京・新宿)、「環境・持続社会」研究センター(JACSES、東京・千代田)、アジア太平洋資料センター(東京・千代田)のNGO3団体は12月8日、国内大手銀行5行の投融資方針の社会性を格付けするウェブサイト「Fair Finance Guide日本版」を公開した。みずほフィナンシャルグループが130点満点中29点で首位、最下位は4点のりそなホールディングスだった。(オルタナ副編集長=吉田広子)
対象となったのは、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、りそなホールディングス、三井住友トラスト・ホールディングスの5行だ。
NGO3団体が「気候変動」、「自然環境」、「人権」、「労働」、「兵器産業」など13 テーマ、のべ228項目にわたり調査・格付けを行った。
公表されたスコアを計算すると、トップがみずほFGで130点満点中29点、次いで三菱UFJFGと三井住友FGが同27点、三井住友トラストHDが同20点、りそなHDが同4点だった。
テーマ別にみると、みずほFG は「気候変動」の分野で国内他行を一歩リードしている。これは、融資先の発電プロジェクトにおける温室効果ガスの排出量を定期的に公開しているためだ。
三井住友トラストHD は、国連人権宣言や国連グローバル・コンパクトを投融資基準に反映しているため、「人権」の分野で他行をリードしている。
ただし、日本の大手銀行のテーマ別スコアは、最大でも10点満点中5 点で、国際的なスタンダードと比較して、CSR に対する取り組みが遅れている現状が数値的に明らかになったという。
金融機関の投融資方針に対する社会性は、2009 年にオランダでオックスファム、アムネスティ、FoE などの著名なNGO が主導する形でスタート。2014 年からはスウェーデン国際開発協力庁(Sida)からの支援も受け、世界7カ国(日本、オランダ、スウェーデン、ベルギー、フランス、ブラジル、インドネシア)でも取り組みが始まった。
銀行の評価基準についても、国際的な規範や条約等に基づいた、可能な限り客観的なものを7 カ国共同で作成し、適用している。
A SEED JAPANの土谷和之さんは、「日本の銀行はCSRにおいて『環境格付け融資』の普及など努力している面もあるが、そうした取り組みが全体の投融資方針に反映されていないことが多い。方針を策定し、コミットメントを示すことで、金融をより社会的なものにしていくというメッセージを打ち出してほしい」と期待を込める。