環境省は18日、東電原発事故にともなう住民の健康管理に関する専門家会議を、市民の傍聴を認めずに開催。夕方、環境省前に市民が集まり、傍聴を認めるよう抗議した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
専門家会議の開催は14回目。環境省は傍聴から市民を締め出した理由として「(前回の会議で)発言等により議事を妨げる行為があった」などと説明している。
11月26日に開かれた前回会議では「中間とりまとめ案」が議題に。案で福島県内と県外を区分けしていることについて、委員で福島県立医大の丹羽太貫特任教授が「福島県外の被ばく線量は低い」「放射能は離れていくほど低くなるのが常識」などと主張した。
すると傍聴席から「科学的議論をしろ」「ホットスポットがある」などと声が上がった。これに対して丹羽委員は席を立ち「うるさいから黙れ」などと怒鳴り返していた。
つくば市在住の主婦で、「放射能からこどもを守ろう関東ネットワーク」の稲垣芳(かおり)共同代表は「放射性物質を含んだプルーム(雲)は福島県の内外にかかわらず飛散している。形式だけの会議で、市民の意見を聞くスタンスが見られない」と疑問を呈する。
また稲垣氏は「外部委員からの指摘も、被ばくの健康影響に慎重な意見は案に盛り込まれていない」と指摘。「関東はリスクコミュニケーションだけでいい、という議論に持って行こうとしているのか」と不安を訴えた。
抗議には社民党の福島瑞穂参院議員も駆けつけ「今日にも議論がまとまると聞く。結論ありきの議論はおかしく、説得力がない」と会議の在り方を批判。
NGO「FoE Japan」の満田夏花氏は「委員の選定に疑問を感じる。言い方は悪いが、今のメンバーは御用学者だらけだ。環境省だけで議論するのではなく、厚労省や被害当事者を交えた議論が必要だ。専門家会議は一から仕切り直しを」と訴えた。