米海兵隊普天間基地の移設問題で、沖縄防衛局は15日、名護市辺野古での新基地建設に向けた作業を再開した。防衛局や海上保安庁は衆院選を控えた昨年11月、キャンプ・シュワブ沿岸部から浮桟橋やゴムボートを撤去し、作業を中断していた。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■前日、翁長知事は建設反対を表明
辺野古への新基地建設反対を掲げて沖縄県知事選に当選した翁長雄志知事は14日、首相官邸を初訪問。杉田和博官房副長官と会談し、新基地建設反対の考えを伝えている。
政府は同日、2015年度の予算案を閣議決定。沖縄振興予算を前年度の3501億円より少ない3340億円と決定する一方、辺野古への基地移設にともなう関連経費として、今年度の倍となる1736億円を計上した。
現地では市民が作業再開に抗議。キャンプ・シュワブのゲート前では15日未明、重機などの搬入をめぐり市民と警察官がもみあいとなった。現在も約250人が座り込みを続ける。
一方、辺野古沖では、昨秋撤去された浮桟橋などの再設置作業が始まった。午前、カヌーに乗り抗議していた市民18人が海上保安庁に拘束された。
■大浦湾ではサンゴ破壊
辺野古沖の建設予定地域に隣接する大浦湾では12日、サンゴの群落の一部が破壊されているのが見つかった。
破壊されたのはユビエダハマサンゴ群落の一部で、幅が50センチ、長さが約10メートルと約5メートル。誰が破壊したのかは不明だが、アンカーで引きずったことによるものとみられる。琉球新報は、市民の抗議を警戒する防衛局の大型船が付近に停泊していた、と報じている。
今回の破壊は本土では余り報道されていない。同じサンゴの破壊でも、小笠原近海での中国漁船の密漁がさかんに報じられていたのとは対照的だ。