ダイバーシティ推進と言っても、女性活躍推進にばかり注力も注目も偏りがちだと以前のコラムも含めと常々提起してきました。多様性を活かすには、ハンディキャップのある人財の力を引き出す仕掛けや機会を創出することが欠かせません。(グロウス・カンパニー+代表=山岡仁美)
王子養護学校の卒業生の働く場所として始まり、のちに、厚労省への宅配や霞が関売店へと販路を広げたスワンベーカリー。
2011年にはANAグループ(ANAウィングフェローズ・ヴイ王子株式会社)となり、今はベーカリーの製造・外販だけではなく、航空関連事業も含め領域を拡大し、様々な障がいを持った方が活躍できる場が設けられています。
その企業理念の中には、「障がい者雇用を単なるゴールとせず、障がい者が中心となった事業運営を推進し、社員価値・会社価値を最大化します」、「社員の自由で柔軟な意見や提案を推奨し、前例や慣習、多数決にこだわらず、スピード感をもって会社運営を行います」などと掲げています。
先日、ANAのCEO篠辺修氏の経営に対する考えに触れる機会がありました。その中で、「企業は誰のためにあるのか」の問いかけに対し、「企業は社会の公器」と応えられていたのが印象に残っています。
その観点で、障がいのある人財、ない人財、いずれもお互いが多様性を尊重し許容し、いきいきとやりがいを持って関わり働く。さらにそれにとどまらず組織や会社の力にしていく。それが会社の価値も、個の価値も高めていくことであり、企業としては、社会的責任でもあります。
ダイバーシティの先進国、アメリカと比較して考えてみましょう。アメリカにおいてのダイバーシティは、1960年代に雇用均等法が成功された頃から始まっています。アメリカでのダイバーシティ施策は、多民族国家であるため、人種、性別といった、その違いがひと目でわかる分野に限定されていました。