「フクシマを忘れない」「原発なくても電気は足りる」。東日本大震災と東電原発事故から間もなく4年を迎える8日の午前、東京・多摩市に住む市民を中心とした脱原発の集会とデモが、多摩センター周辺で行われた。福島・楢葉町出身で、現在多摩ニュータウンに住む市民は「東電は被災者への補償を切り詰めている」と話した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■「東電に不信感」
「除染も終わり、春にも帰還が許されると聞くが、資材の高騰や大工さんの不足のせいなのか、町はとても静かだった。畑にはフレコンバッグ(除染で出た汚染土を詰めた袋)が山と積まれていた」。参加者の1人で多摩市在住の水野清さん(73才)は先日、故郷の楢葉町を訪れた時の様子を語った。
避難者は故郷への帰還をめぐり、家族の中で分断が生じている。水野さんは避難者が直面する困難についてもこう話す。
「80代の姉夫婦は帰郷を望むが、自動車しか移動手段がない。インフラの整備が遅れている。(一方で)子供や孫は帰還したくない。しかし借上や仮設の住宅は1年毎の更新で、しかも借りられるのは最長で5年まで。生活を立て直せるよう、もっと長期間の住宅支援が必要だ。福島県や国が(支援の充実を)決断しないと、この問題は解決しない」
さらに東電に対しては「情報隠しが多く、しかも被災者への補償も切り詰めている。被災者は東電に不信感を抱いている。ちゃんと補償されていれば、問題は起きない」と憤った。