条例で自転車用ヘルメット着用の励行を定める愛媛県では、県庁が率先して着用率向上のための啓発を進めている。先月19日、「県職員の自転車乗用ヘルメット着用宣言」を発表。10日には県庁前で啓発活動を行い、未着用の県職員に「イエローカード」を手渡した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■県職員が県民に模範示す
2013年7月に施行された県の自転車安全利用条例では、ヘルメット着用励行のほか、毎月10日を「自転車安全利用の日」に制定。県庁前での啓発活動も「安全利用の日」の一環だ。当日は担当職員が「ヘルメット着用を」などと書かれたイエローカードを、未着用の県職員に配布した。
「着用宣言」は、県職員が県民に模範を示すねらいがある。自転車乗車中の事故での死亡者のうち、主な損傷部位として最も多いのは頭部だ。交通事故総合分析センターのまとめでは、09~11年に発生した死亡事故で、頭部損傷が占める割合は64%にも上る。
着用宣言前の調査では、県職員のヘルメット着用率は11.5%にとどまった。ところが10日の啓発活動とあわせて再度調査したところ、着用率は59.3%となり、5倍に改善した。
「ヘルメット着用励行を条例で定めているのは本県のみ。着用率向上の取り組みは、自転車の安全利用に向けた活動の効果が目に見えて表れる」。啓発活動を担当する県消防防災安全課は、着用率向上に力を入れる理由をこのように話す。
県内には「サイクリストの聖地」と称される「しまなみ海道」が通る。また、県では「愛媛マルゴト自転車道」の整備や自転車イベントの開催などを通じて、国内外のサイクリストの誘致に積極的だ。そうした背景の下、自転車の安全利用の促進は県にとって不可欠の取り組みといえる。
同課ではヘルメット着用率の向上を「将来的には、自転車の車道左側通行の周知徹底にもつなげたい」とも説明。毎月10日の啓発活動は、警察などとも連携しながら今後も継続するという。