「命の海とサンゴ礁を守れ」。沖縄・名護市の辺野古沿岸で進む米軍新基地の建設に反対する緊急共同声明を、国内外の環境NGO31団体が25日に発表した。声明では辺野古沿岸を「日本で絶滅のおそれが最も高い哺乳類のジュゴンが生息するなど、生物多様性に大変富む地域」と評価。建設に向けた作業を進める日本政府を「沖縄県知事は作業の一時中止を求めているのに全く無視している」と批判した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■作業でジュゴン寄り付かず
辺野古沿岸、および隣接する大浦湾では、確認されているだけで絶滅危惧種262種を含む5334種の生物が確認されている。
都内で行われた共同声明の会見で、日本自然保護協会の安部真理子氏は「辺野古沿岸地域は沖縄本島最大の海草藻場で、ジュゴンの餌場だ」と指摘。「現地はサンゴ礁、藻場、干潟などが微妙なバランスをとりつつ、全体で一つの生態系を形成している」と述べ、生物多様性が保たれている貴重な地域であることを強調した。
辺野古周辺では、ジュゴンが海草を食べた跡が昨年7月頃まで確認されていたという。しかし7月半ば以降、新基地の埋立予定区域への立ち入りが制限され、さらに同区域外側の臨時制限区域がオイルフェンスで囲まれた。安部氏は「8月以降は(食べた跡が)見られなくなった。ジュゴンが藻場に近づかなくなったようだ」と話した。
安部氏はまた、新基地建設による埋立工事で、県外からの土砂持ち込みで生じる環境影響についても言及。「土砂に外来種が混入するおそれがある。また土砂の採取で、広く日本の環境が破壊される」と警告した。