福島第一原発事故から4年目の3月から、1986年にチェルノブイリ原発事故が起きた4月にかけて、欧州各地で脱原発デモが盛んに行われている。3月14日にドイツ最大連邦州の州都デュッセルドルフ、15日にベルギーの60万人都市圏リエージュに近いティアンジュ原発で行われたデモの模様を報告する。(ベルギー=環境ジャーナリスト・川崎陽子)
欧州一の日本人居住地でもあるデュッセルドルフでは、現地の日本人が結成した「ドイツ登録公益社団法人さよなら原発デュッセルドルフ」、ドイツ最大反核団体「ausgestrahlt」や環境保護団体BUND、核戦争防止国際医師会議IPPNWなどが共同でデモを主催した。
ドイツ各地から集まった500人近い市民は、国内最大の電力会社エーオン本社そばから出発。警察の先導で、片側2~3車線いっぱいに広がり、音楽やシュプレヒコールに合わせて練り歩く際には、対向車線を走る車から応援のクラクションが鳴り響いた。
ライン川沿いの歩行者・自転車天国では、2011年に起きた原発震災の犠牲者に黙祷を捧げ、日本から訪れていた「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉さんが、福島の悲惨な現状を伝えて連帯を呼びかけた。
■「フクシマが忘れられないように」
ドイツの反核団体は、世界の核惨事の被害者に思いを馳せると同時に、「加害者である原発企業のロビイ活動を許してはならない」と訴えた。また、デモの終点である州の経済省前では、ウラン濃縮施設や核廃棄物の問題に言及し、州レベルでのエネルギー政策における脱原発の徹底を要望した。
200km以上離れた町から列車で来たという初老の夫妻は、「今年もまたデモの参加者が減りました。フクシマがどんどん忘れ去られています。だからこそ私たちは、国内のどこへでも出かけています」と語った。